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好きな言葉を採集

短歌、俳句、川柳、雑記

NHK短歌 「聴く」

NHK短歌 1月放送 「聴く」

選者:伊藤一彦
司会:剣幸
ゲスト:筒井真理子

 

今回のゲストは映画「淵に立つ」で主演を務めた筒井真理子さん。カンヌ映画祭へ行ったときの思い出を歌を、伊藤先生につくってもらっていました。

 

たらちねの母作りくれし着物きて喝采受けぬ映画「淵に立つ」
(伊藤一彦)

 

まさに。といった感じの歌。今回はご本人が作ってきてはくれなかったのが残念でした。
伊藤先生の回で楽しみなのは牧水紀行。私も先日岩波文庫の牧水歌集を買いまして、すこしずつ読んでいるところです。今回紹介された牧水の歌で気に入ったのは次の歌。

 

旅人のからだもいつか海となり五月の雨が降るよ港に
若山牧水

 

私にとっては牧水というと「白鳥や」の歌のイメージが強くて、寂しさ、哀しさの歌が多いのかと思っていました。(この歌もどちらかというと、それに近いのかな?)

 

山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇を君
若山牧水

 

牧水は自然の中の人間のちっぽけな悲しさだけでなく、情熱的な恋の歌もかなり作っているんですね。NHK短歌テキスト1月号にも載っているのですが、この時代の人にしてはかなり大胆に恋を歌っています。今はすぐに「中二病」といわれてしまうけれど、恋愛という新しい価値観が入ってきた明治は時代そのものがまるで浮かれた青春。なんの恥じらいもなく、我に返ることもなく歌っています。短歌という形式自体が「二の線」を要求する、というのは納得です。

 

成熟を通り越してしまった時代だからか、何かというとすぐに「中二病」とか「メンヘラ」などという言葉で片づけてしまいますが、そういう感想しか持てないのは表現の幅を狭めているのかもしれないと反省しました。