わたしのひとり会

短歌、俳句、川柳、落語、読書、雑記

NHK俳句 「節分・追儺」 夢枕獏

NHK俳句 1月放送 「節分・追儺

 

選者:夏井なつき
司会:岸本葉子
ゲスト:夢枕獏

 

今回のゲストは「陰陽師」で有名な作家・夢枕獏さん。恥ずかしながら読んだことはないのですが、お名前は知っています。とてもおだやかな印象のおじさまです。今回の兼題が追儺という儀式なので、漫画「陰陽師」のイラストを示しながら、夢枕さんから解説がありました。これはぜひ読まないと!

 

節分というと鬼に豆をまくイメージしかありませんでしが、それは追儺の方。節分は時候の言葉。儀式を指しているわけではないんですね。明日から春が始まる、というのがポイントの言葉だそうです。具体的なイメージが湧く言葉ではない分、いろいろな言葉との取り合わせで楽しめる、と夏井先生がおっしゃっていました。

 

節分の朝ほどのよき空の青
夢枕獏

 

夏井先生の季語道場コーナーで夢枕さんが提出した自作の句。なんと先生からの添削は一切なし!初めてのことだそうです。明日から春、という節分をうまく表現しているとのことです。「下手にいじらないほうがいいわ!」と夏井先生が言っているのは驚きました。

夢枕さんは俳句小説を構想中だそうです。今回の放送を見たら、完成が楽しみになりました。発売されたらぜひ読みたいです。

 

歳時記をちゃんと買おう…と思った次第です(笑)

NHK短歌 「聴く」

NHK短歌 1月放送 「聴く」

選者:伊藤一彦
司会:剣幸
ゲスト:筒井真理子

 

今回のゲストは映画「淵に立つ」で主演を務めた筒井真理子さん。カンヌ映画祭へ行ったときの思い出を歌を、伊藤先生につくってもらっていました。

 

たらちねの母作りくれし着物きて喝采受けぬ映画「淵に立つ」
(伊藤一彦)

 

まさに。といった感じの歌。今回はご本人が作ってきてはくれなかったのが残念でした。
伊藤先生の回で楽しみなのは牧水紀行。私も先日岩波文庫の牧水歌集を買いまして、すこしずつ読んでいるところです。今回紹介された牧水の歌で気に入ったのは次の歌。

 

旅人のからだもいつか海となり五月の雨が降るよ港に
若山牧水

 

私にとっては牧水というと「白鳥や」の歌のイメージが強くて、寂しさ、哀しさの歌が多いのかと思っていました。(この歌もどちらかというと、それに近いのかな?)

 

山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇を君
若山牧水

 

牧水は自然の中の人間のちっぽけな悲しさだけでなく、情熱的な恋の歌もかなり作っているんですね。NHK短歌テキスト1月号にも載っているのですが、この時代の人にしてはかなり大胆に恋を歌っています。今はすぐに「中二病」といわれてしまうけれど、恋愛という新しい価値観が入ってきた明治は時代そのものがまるで浮かれた青春。なんの恥じらいもなく、我に返ることもなく歌っています。短歌という形式自体が「二の線」を要求する、というのは納得です。

 

成熟を通り越してしまった時代だからか、何かというとすぐに「中二病」とか「メンヘラ」などという言葉で片づけてしまいますが、そういう感想しか持てないのは表現の幅を狭めているのかもしれないと反省しました。

 

 

 

NHK俳句 「風花」

NHK俳句 1月放送「風花」

 

選者:堀本裕樹

司会:岸本葉子

ゲスト:羽田圭介

 

今日のゲストは芥川賞作家で最近はテレビにもよく出ている羽田圭介さん。小説家だと俳句や短歌なども慣れ親しんでいるものかと思ったら、そうでもないとようです。羽田さんは俳句のように余白を楽しむ文芸ではなく、行間を読ませない、ぎっしり情報をつめこんだものを書きたいタイプみたいです。(まだ小説を読んだことがないので、これを機会に読んでみようと思います)

入選句の感想を求められても、「いやあ、分かんないっすね」と答えることが多く、なんとも居心地が悪そう(笑)静かに淡々と進んでいき、派手な演出やVTRなんかも全くない進行だからこそ、ゲストの人となりをじっくり見ることができるのが、この番組の良さだと改めて思いました。

 

風花や誤配の手紙うつくし

 

私はこの入選句が一番好きでした。風花は天気の良い日に降る雪のこと。本来なら来るべきところではないものが届く様子を、誤配の手紙に託すとともに、自分宛ではない手紙へのロマンを感じます。心待ちにしていた届いてほしい別の手紙もあったのかもしれない、と思うといろんなストーリーが想像できます。

 

冬の朝毎日作るハンバーグ

(成功者K)

 

羽田さんが作った句です。成功者Kというのは、以前使っていた名前だそうで、芥川賞を取ったあとのいま使うと痛い感じがしてしまう、と本人が言っていました。無名の頃にこういう名前をあえて使っていたあたりに、にやっとしてしまう私がいます…(笑)

 

話は逸れますが、司会の岸本葉子さん、日経新聞の夕刊1面のコラム「あすへの話題」で連載がスタートしたようです。いつもテレビで見るばかりで、そういえば本業のエッセイを読んだことがなかった(^^;)新聞で見かけたときは目を通すようにしています。

 

 

 

 

 

NHK短歌 「お風呂」

1月放送 NHK短歌 「お風呂」

 

選者:小島なお
司会:剣幸
ゲスト:カン・ハンナ

 

テーマはお風呂、ゲストがカン・ハンナちゃん!短歌De胸キュンに出演したり、NHK短歌でアシスタントしたりしています。カンちゃんは角川の新人短歌賞の佳作に入賞しました。短歌を始めて3年くらいだそうです。すごいなあ、私は始めてまだ数ヶ月(^^;)角川賞にもいつか応募したいとは思っていますが、まだまだ先のことになりそうです。


それにしても出演者がみんな女子。きゃいきゃいした感じがして、なんか見ているだけで楽しいです。あと、アシスタントのえりちょすも含めてみんな知り合いだからか、よりいっそう寛いだ様子に見えました。入選歌を見ていっても女性らしい感想が聞かれ、まさに女子会でした。

 

風呂のなかトランクのなか棺のなか人の入りうる容量さびしき
(岡崎康行)

 

選者の小島なおさんが紹介した一首です。人が入ることができるものをあげることで、なんともいえぬ人のちっぽけさが感じられる歌だなあと思いました。とくに三つ目の棺が際だっています。そう思うと「風呂」は産湯かなあとか、「トランク」は生まれてから死ぬまでの人生を旅に例えているのかなあとか、想像のしがいがあります。

小島なおさんの回で楽しいのは、穴埋め問題。今回はこんな問題でした。

 

この春は
にろりんといふ
ものが棲み
にろりんとふは
●●●●●●●

 

私は「にろりん」にかけて、「ごろりんと寝る」かと思ったのですが、全然違いました(^^;)答えは「二浪の息子」でした。
正解者はおらず。これは難しい!でも二浪というちょっと悲壮感もある単語が「にろりん」という実に可愛らしい言葉になっていて、ほほえましい気分になります。えりちょすは「蛙のぴょこりん」と解答。これはこれで可愛い…!小島さんも気に入っていた様子でした。

 

正月 短歌の目


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短歌の目、参加します。よろしくお願いします。

 

1 編

編み上げた言葉の目には擦り切れた表紙の似合うこの辞書がいい

2 かがみ

鏡面に積もる埃を拭き払いすこし美人のふりをしてみる

3 もち

もちむくり土手っ腹から膨らんでぷいと横向く十四の初春

4 立

「立てるかい?」そんな気軽に言わないでそんな気軽に泣かされないで

5 草

公園のボロのベンチと街灯は道草高じ住み着いたらしい

テーマ 初

墨香る不揃いの毛の筆先の書き初めたるはへのへのもへじ

 

 

http://tankanome.hateblo.jp/entry/2017/01/10/060915

 

流行の歌詞は。 関ジャムを観て

「関ジャム」という、音楽を掘り下げていく番組で、ゲスト出演していたプロデューサーが言っていた言葉が非常に印象に残りました。
今回の関ジャムでは、3人の売れっ子プロデューサーが出演。それぞれが、自分の思う2016年の名曲ランキング10を発表しました。いしわたり淳治さんは2位にauのCMでお馴染みの「みんながみんな英雄」を挙げました。そのときのコメントです。

 

昨今のミュージシャンは作詞や作曲を自己表現だと思っている人が多くて、
もちろん、それも間違いではないけれど、そういう自我みたいなものが
逆に世の中に流行歌が生まれにくくしている一因かもしれないとも思います。
この歌は“世の中で広く聴かれる歌”という意識の下で
誰もが口ずさめるメロディーに、
シンプルで力強い歌詞が書かれていて、とても新鮮に聴こえます。

いしわたり淳治

2017年1月15日放送「関ジャム 完全燃SHOW」テレビ朝日

 

いしわたりさんは、自分の音楽が社会や人々にどう影響を与えるか、機能するかを考えるミュージシャンが減っているのでは、と危惧しているようです。たとえば永六輔の「上を向いて歩こう」のように広く伝わり、耳に残る。そういうものを作るのは実は難しいんだと。そういう理由で西野カナ「Have a nice day」を1位に選んでいました。私も「西野カナなんて…」とこれまで反射的にバカにしていましたが、チャッチーな歌詞を書き、その歌が聞く人の生活のBGMになることを意識して曲作りをしているとの指摘を聞くと、今までの偏見を正そうかなと思いました(^^;)

 

そういえば以前、テレビでいきものがかりが「あきりたりで単純なことしか言ってない」といった批判があるのも承知の上で歌詞を書いている、と言っているのを思い出しました。このときは「ふーん」くらいにしか感じませんでした。ですが、自己表現、文学性、新規性だけを志向するのではなく、「自分の音楽がみんなの生活、人生にどう効果をもたらすか」ということを、いきものがかりも意識していたんだと今更理解しました。


自分の好きなものを好きに書く。もちろんそれが根底にあるのだと思います。「流行歌なんていらねーよ、タコツボ上等」そんな声も聞こえてきそう…(^^;) けれど自分が作っていて気持ちのいいものだけじゃなく、人々にとって必要とされる、愛される音楽を目指すことも、ミュージシャンたちにとっては大切で、馬鹿にされるようなことではないんだと、私はこの番組を見て感じました。

 

 

新海誠の「君の名は。」もたいへんなヒットになりましたが、一方で「大衆受け狙って金儲けに走った」「以前の文学性が落ちた」なんてよく言われてましたよね。昔からのファンである私の友人なども、手厳しいことを言っているのをよく見かけました。(私は以前のウジウジした作風よりも好きでしたが…苦笑)

 

でも、この多様化した社会で、一部ではなく多くの人に観てもらうことを目標とするのは大変な試みだし、それに見事に成功していることは賞賛に値するものだと、しみじみ思いました。むろん私も「じゃあ売れれば何でも良いのかよ」という気持ちがありますが、アニメにしろ、音楽にしろ、大衆に受け止められるということは、つまりその時代を(いろんな意味で)表現していることになると思います。それは作品と名の付くものとして、大切な側面でもあるはず。

それに、多くの人に求められるものを作ろうとしたらおのずと「今の時代ってなんだろう」「人間とは何なのか」という深い問いにつながるのではないでしょうか。時代の風潮=正義とはこれっぽっちも思いません。「こんな時代だからこそ、お前ら目を覚ませ!」みたいな作品だってたくさん誕生し、その中から大ヒットになったものもあるでしょう。

 

 

ただ、いままで「大衆受け=陳腐+金儲け」としか捉えていなかったのは浅慮だったなと思い知らされた、とてもいい番組だったことを記録したかったのです。

 

話を広げると、最近はEU離脱やトランプ旋風など「ポピュリズム」が問題になっています。私も「なんて馬鹿な!しかもこんなに多くの人が!」といった感想で思考停止していましたが、いまつらつらと感じたことをきっかけに、「多くの人に支持される意味」を単純化したり馬鹿にしたりせず、考えねばと思わされました。

 

 

 

 

 

NHK俳句 「寒昴」

1月放送 「寒昴」

選者:正木ゆう子
司会:岸本葉子
ゲスト:海部宣男天文学者

 

空を見上げることなんて無くなって、まあ久しいです。
ゲストの 海部宣男さんによると、昴は比較的若い星なんだそうです。一つの星だったのが、ばらばらに、散らばり始めている星々。字面からは想像もしない、フレッシュな言葉だったんですねえ。

ゲストの海部宣男さんは国立天文台の台長も務めたこともある天文学者で、あのすばる望遠鏡を完成に導いたという業績の持ち主。まさに 「寒昴」のテーマにふさわしい第一人者ですね。 穏やかな正木ゆう子さんや岸本葉子さんとも波長の合っている感じがして、見ていて非常に和む回でした。12月放送の「鰤」の回で登場した元漁師の上田勝彦さんとは、雰囲気がまったく違っていてこれもまた面白かったのですが。

 

ビル街の高みの上を寒昴

 

海部宣男さんの自作の句です。「上に」ではなく「上を」としたことで、 寒昴が動いている様子も表したかったとのことでした。それとともに、実は昴は都会でもよく見える星なんだそうです。都会に居てもぜひ空を見上げてほしい、という思いもこめられています。