わたしのひとり会

短歌、俳句、川柳、落語、読書、雑記

NHK俳句 「寒昴」

1月放送 「寒昴」

選者:正木ゆう子
司会:岸本葉子
ゲスト:海部宣男天文学者

 

空を見上げることなんて無くなって、まあ久しいです。
ゲストの 海部宣男さんによると、昴は比較的若い星なんだそうです。一つの星だったのが、ばらばらに、散らばり始めている星々。字面からは想像もしない、フレッシュな言葉だったんですねえ。

ゲストの海部宣男さんは国立天文台の台長も務めたこともある天文学者で、あのすばる望遠鏡を完成に導いたという業績の持ち主。まさに 「寒昴」のテーマにふさわしい第一人者ですね。 穏やかな正木ゆう子さんや岸本葉子さんとも波長の合っている感じがして、見ていて非常に和む回でした。12月放送の「鰤」の回で登場した元漁師の上田勝彦さんとは、雰囲気がまったく違っていてこれもまた面白かったのですが。

 

ビル街の高みの上を寒昴

 

海部宣男さんの自作の句です。「上に」ではなく「上を」としたことで、 寒昴が動いている様子も表したかったとのことでした。それとともに、実は昴は都会でもよく見える星なんだそうです。都会に居てもぜひ空を見上げてほしい、という思いもこめられています。

NHK短歌 「ワイン」

1月放送 「ワイン」

選者:坂井修一
司会:剣幸
ゲスト:押切もえ

酒好きとしてとても楽しみにしていた回。入選歌を見るとやはりお題のワインのおかげか、どれもお洒落な感じがしました。

なんといっても今回のゲストは押切もえ!モデル業以外にも小説を発表してたりと、多才な人なんですねえ。
NHK短歌を見始めてまだ1年も経ちませんが、この番組は、あまり修正を加えていない感じが好きです。うっとうしい字幕もないし、軽快なトークもない。ゲストが入選歌について感想を求められたが途中で言葉に詰まってしまい、「大丈夫か…!」と少し視聴者が不安になるシーンも、そのまま放送。不思議なゆるゆるの空気感があります。(たまにしゃべりすぎるゲストに選者が苦笑いしていることさえある…)

坂井修一さんから押切さんへ、短歌のプレゼント。いつもゲストの名前を仕込んだりしていますが、今回はこんな歌でした。

わがひとは
くちびるに愛
イリュージョン
もしもしハロー
英語でしゃべらナイト

頭文字をとって「わくいもえ」。下の文字をとって「は愛ン(=ワイン)」。
そう、押切もえと涌井は結婚したばっかり!お二人の結婚式でワインの注がれるような、おめでたい感じを出したかったそうです。
おまけに「英語でしゃべらナイト」の宣伝まで入れてますね(笑)

2016年に読んだ本に星を付ける

2016年に読んだ本を挙げます。2016年に発売されたとか、話題になったとか、関係ありません。単に私が読んだだけです。

 

★(絶対に読んでほしい)

死んでいない者 滝口悠生

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米田万里

人生、成り行き 談志一代記 吉田潮

 

 夢中になってすごく好きになった本は他にもたくさんありますが、「他の人に布教したい且つ印象に残った本」という意味でこの三冊を選びました。

「死んでいない者」は、とても文章が好みだった本です。ストーリーやキャラクターで惹かれる本はたくさんありますが、この本で「文章で読ませる」良さを再認識しました。もちろん筋書きや世界観もよかったです。よくあるかっこよくておもしろ文体に飽き飽きしている人に薦めたいです。奇抜ではないけれど、不思議と心に残る語りでした。

「嘘つきアーニャ」はずいぶん昔に話題になった本ですが、2016年に初めて読みました。ソ連で子供時代を過ごした日本人子弟、という実体験がなければ絶対に書けない内容です。珍しい体験談だから読み物として面白いのも確かですが、それ以上に、語り口の面白さや登場人物たちの生々しさが印象に残ります。さまざまなバックグラウンドを持つ個人を丁寧に描写することで、東欧やソ連の歴史に光を当てています。米田万里、ほかにも読みたくなりました。

「談志一代記」は、単に私が談志大好きだから選んだものです(笑)。談志の良さを私が理解できているかは分かりませんが、落語と人となりが一致していて、実力のある太々しさ。忘れがたい人です。この本を読んでほしい、というよりも談志を知ってほしいという気持ちから選んでいます。

 

★☆(読んでほしい)

ライク・ア・ローリングストーン 今井聖

トヨトミの野望 梶山三郎

ビビビ・ビ・バップ 奥泉光

虐殺機関 伊藤計劃

ハーモニー 伊藤計劃

消滅世界 村田沙耶香

流 東山彰良

「国語」の近代史 安田敏朗

コインロッカー・ベイビーズ 村上龍

アルスラーン戦記 田中芳樹

 

ライク・ア・ローリングストーン」はあまり有名ではないかもしれませんが、かなりおすすめしたいです。俳句と格闘する青年の青春を描いたものです。「地味な青春だな…」と思われるかもしれませんが、雰囲気としては、森美登美彦の描く大学生やつかこうへい作品の登場人物あたりを足して割ったような感じです。闘争の時代に青春を過ごした俳句青年のストーリー、予想以上に楽しかったです。

伊藤計劃村田沙耶香などのディストピア系の小説も大好きです。私が紹介するまでもなく面白い!その他によかったのが「トヨトミの野望」。現役の経済記者がトヨタ自動車をモデルに内部事情を暴きまくった小説です。「これってどこまで本当なんだろう」と思いながら読むと楽しいです。

 

★☆(読んでよかった)

きみを嫌いな奴はクズだよ 木下龍也

天皇と葬儀 井上亮

羊と鋼の森 宮下奈都

乳房 伊集院静

ビッグの終焉 ニコ・メル

白痴(上) ドストエフスキー

白痴(下) ドストエフスキー

寝相 滝口悠生

マチネの終わりに 平野啓一郎

異類婚姻譚 本谷有希子

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 本谷有希子

 

 とても評判になっていたので読んでみた「羊と鋼の森」。この作者では「スコーレNo.4」という小説のほうが好きだったので、ふつうの評価にしました。それと2016年は初めて本谷有希子を読みました。とても迷ったのですが、ふつうの評価に。とくに「腑抜けども」は、胸やけするようなギトギトな文章が好きではなかったのですが、それがストーリーにマッチしているので、星4つにするか悩みました…。強烈な印象を残していったのは確かです。

 

★☆(読まなくてもよかった)

姉の結婚 群ようこ

校閲ガール 宮木あや子

 

 「姉の結婚」は女にまつわる短編集なのですが、あまり私には合わなかったようです。メスとか女とか、そういったことをテーマにした小説は苦手なのかもしれません…。

ドラマでも話題になった「校閲ガール」。私の本職は校閲なのですが、この仕事独特の良さ・悪さがあまり出てこないうえに、ストーリーが面白くなかったです。「こんな仕事もあるんだ~」程度の感想しか持てないような気がします。ドラマは全話見ましたが、それは石原さとみが可愛かったから…。(この記事に誤字脱字があっても笑わないでね!仕事じゃないから…!汗)

 

 

★☆(読まなきゃよかった)

 さすがに無し。

 

 

 

短歌の目

短歌の目、参加します。よろしくお願いします。

 


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1.おでん

長コート下にパジャマを隠しつつ おでんを選ぶ夜の若者

 

2. 自由

持ち帰り自由の品を取るときに前後左右をちら見する人

 

3. 忘

「忘れて」と言うほど人は思い出す 都会の夜の冷たさのなか

 

4. 指切り

指切りも赤い糸にも縁のない私の小指不要論あり

 
5. 神

神様の言うとおりにし決めたのに なぜ腹痛にノロわれている

 

 

冬休み

 

しゅこしゅこと灯油を入れる臭みには父の大きな手の温みあり

 

稼ぎ時これを逃すと誕生日 計画性を発揮する子ら

 

 

短歌の目12月お題です - はてな題詠「短歌の目」

黒部峡谷にて 2


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名も読めぬ駅で列車を待つ我に 心強きは古ストーブの火

 

旅も果て空が紅葉に染まりけり

 

++++++++++++++++++++++

 

 本当は誰かを誘おうかとも思ったが、平日の中途半端な日に遠路はるばるトロッコ列車に乗るためだけに来てくれる人はおらず、一人旅となった。私は旅行好きでも写真好きでも、そもそも短歌や俳句好きでもなかったのだが、日々の嫌なことから気を紛らわせるために始めた。就職するまでは自分の進路に悩んだことが一切なかった私が、今はこの先をどうしたいのかさっぱり分からなくて困っている。休みの日にどう過ごして良いのかすら分からなくなるときがある。

 トロッコ列車は始発の宇奈月から終点の欅平まで、ずっと川沿いを走る。そのため途中途中に小ぶりのダムが現れ、白いしぶきをあげて勢いよく放水する光景を見ることができる。嘘みたいなエメラルドグリーンのダム湖が、太陽に照らされてきらきらと光る景色などは、思わず歓声をあげてしまった。そうは言っても、そそり立つ断崖をずっと見せられていると、トロッコの弱々しさと自分の無防備さにだんだん心細くなっていく。そこで突如現れる巨大人工物の豪快な放水は、けっこうな安堵感を与えてくれる。

晩秋の黒部峡谷にて、いくつか詠んだ

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一人旅見知らぬ空を眺めても  隣に君を座らせている

 

山裾やミニカーの走る見つけたり

 

ストーブの磁力がつくる行きずりの 同心円にやかんの周波

 

 

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 黒部峡谷は赤い鉄橋を渡るトロッコ列車で有名だ。かつてはダム建設の作業用列車だったらしい。トロッコ列車の始発駅も終着駅も深い山中にあり、観光名所と言えるのは、温泉と列車から見える景色くらいだ。だがこの景色の素晴らしさのあまり、作業用列車にも関わらず「ぜひ乗せてほしい」という声がたくさん出たため、その命の保証をしないことを条件に見物客を乗せ始めたのが、現在の観光用トロッコ列車の始まりだそうだ。

 細く暗いトンネルをいくつも抜け、急斜面の山道を這うように登るトロッコ列車に乗っていると、自然の雄大さのあまり私はすぐに心細くなってしまう。たぶん、小学生のときに深夜の山で迷子になりかけた記憶が影響しているのだと思う。しかも今回は一人旅。他人に気を使わなくて済む気楽なものだが、その日の客車には私しか乗っていなかったものだから、美しい景色への感動と心細さが交互にやってくる、見た目とは裏腹にせわしない心中だった。

 

いくつか詠んだ (短歌の目)

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短歌の目に初めて参加します。

よろしくお願いします。

 

 

1. 本

真実は私だけだと気付いた日 初めて本を踏み潰した日

 

2. 手袋

指あまり掴めたような気がしても  優しく撫でただけの手袋


3. みぞれ

家を出てぼろ雑巾になり果てぬ 初めて染みる母のみぞれ煮


4. 狐(きつね、キツネも可)

「私って猫みたいでしょ」と言う君の 目はいつだって狐に似てる


5. メリークリスマス

寺の子も等しくメリークリスマス  信じる子にも信じぬ子にも

 

 

テーマ詠「酒」

「飲みたい」を自動変換「会いたい」に 出来ないそこの野暮天に告ぐ

私にもビールの神が降臨す そして大人のテーブルに着く

そのシャツの赤い染みから漂うの ワインではない甘い匂いよ

ベランダの空瓶はまだ捨てられず 最後の晩の酔いは冷めても

酌をしに近付いた背の小ささや われ徳利を握り直した

 

 

 

tankanome.hateblo.jp